「ウキヨホテル」は、「チャブ屋」という施設を題材にとった作品です。

かつて横浜本牧地区周辺を中心に1920~30年代に実在し、繁栄を極めた施設が「チャブ屋」です。

この「チャブ屋」は主に2階建ての建物を使った施設でした。1階にダンスホールとバーカウンターをしつらえ、当時流行していたジャズを中心とした蓄音機や生ピアノで音楽をで鳴らし、「ダンサー」と呼ばれる女性たちと踊ることができました。そこに「チャブ屋女」と呼ばれる私娼たちがおり、2階では夜に一夜の遊びを重ねていました。

ただの娼館ではなくモダンで洗練された場所だったようで、谷崎潤一郎や吉行エイスケといった名だたる著名人・文化人も利用していたようです。特に谷崎は随一の規模を誇る「キヨ・ホテル」に隣接する家に越してきた事実もあります。

しかし、最盛期には42件あったチャブ屋も戦争の影響からは逃げられず、戦後下降線をたどり、1958年(昭和33年)の売春防止法の施行とともに姿を完全に消し、歴史からも忘れられていきました。