to 河田唱子

改める必要もないけれど、いろんな人の目に触れる文章なので、一応改めて。

初めて貴女と出会った時に、「あー、女性の演劇人にも幅があるなぁ」と思ったのを覚えています。
神奈川県の西の隅っこに生まれ育ったものとして、その中で細々と芝居をやっていたニンゲンとしては、出会ったことのない女性のタイプでした。キッとした顔の表情と行動力が、自分にはない雰囲気だと思っていました。
出会ったのは劇作家協会の2009年度の戯曲セミナー。いろんなタイプの人たちが集まっていて、その中でも、今でも付き合いが濃密なのは貴女ですね。セミナーの最終回、お互い酔っ払って、貴女は覚えてないでしょうけど、「戸川純が大好きだー!」と言い合った覚えがあります。
共通の趣味嗜好があっていたのが嬉しかったです。
そんな貴女とは、なんだかんだで、縁が切れない関係ですね。

一時期、自分にはない行動力で芝居の世界を泳いでいく貴女に、ちょっと嫉妬していました。
そんな貴女に、色々と脚本の準備稿や初稿を見せてもらっては意見を返す、そんなモルモットの関係になったのはいつのことだったのか、もう忘れてしまいましたが、それがグッと関係が縮ませていきました。
去年、「日本国 横浜 お浜様」の脚本協力のクレジットをもらい、そのクレジットに恥じないようにモルモットをやって、一気に距離が縮まりましたね。

貴女が横浜本牧にあった「チャブ屋」をミュージカル化するのをライフワークに選んでいるのを知ったのも、これまたいつかすぐには思い出せないのだけれど、貴女らしい選択だなと思いました。
こと、女性と社会の距離を描いてきた貴女が、本腰を入れて、消えてしまった娼館「チャブ屋」を舞台に、それをミュージカルで描く。
貴女にしかできない発想で、下調べ・取材を綿密に行っているのを知って、何か出来ないか、と、思ったわけです。

今年に入ってナショナル・シアター・ライブの「エンジェルス・イン・アメリカ」を2部作、海外の演劇を映画館で上映したものを一緒に見に行って、その舞台のマジカルを熱く興奮した口調で話していた時。
貴女なら、舞台ならではのマジカルを起こす、そう確信しました。

プロジェクトを立ち上げて、2年という時間をかけて1作を練り上げる。
海外ならいざ知らず、日本の文化状況ではあまり聞いた例のない計画。
それは貴女にとって、日本の演劇にとって大きなエポックメイキングになるのではないか、と思っています。
俺自身、劇作家の世界をかじっている身で、そのプロジェクトに携わることは、俺自身にとっても、大きなポイントになるのではないか。
そう思い、片棒を担ぐ決意をしました。

このプロジェクトが、どういう実の結び方をするのか、いちスタッフとして、最後まで見届けたいと思っています。
Long And Winding Roadにはなると思いますが、そこはもう、踏み出した足を引き込めることはしないでしょうし、する気もありません。

そこんとこ、どーかしとつ、よろしく。

from 「河田補佐」ニイモトイチヒロ